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医療機関を受診する際の労災の申請の流れ

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年3月1日

1 労災保険からの給付の種類

労災保険からの給付(支払)には、医療費だけではなく、休業に対する給付や後遺障害に対する給付など、様々な種類の給付があります。

このうち、一番利用する機会が多いと思われる、療養給付(医療費に対する給付)の申請についてご説明します。

2 労災保険への提出書類その1(指定医療機関を受診する場合)

受診先が指定医療機関かどうかについては、こちらから検索することができます。

⑴ 通勤災害と業務災害

労災保険の対象となる事故には、業務中の事故と、通勤途中の事故の2つがあります。

前者を通勤災害、後者を業務災害といい、それぞれ個別の請求書の様式が定められています。

こちらのホームページより、書式のダウンロードができます。

また、労働基準監督署の窓口で受け取ることも可能です。

⑵ 業務災害の場合

災害に遭った労働者の住所氏名や事故状況などについて記載するほか、事故発生日時及び事故状況について、お勤め先の会社による証明(請求書記載のとおりで間違いない旨の確認欄に、会社代表者の記名押印等をしてもらうこと)が必要となります。

このため、請求書を作成するにあたっては、会社に協力してもらう必要があります。

これに対し、会社が、労働災害が発生したことを知られたくない(いわゆる労災隠し)などを理由に、協力を拒むことがあります。

このような場合は、労働基準監督署に事情を説明し、会社の証明なくして申請を受け付けてもらうよう伝える必要があります。

その際、事故の資料など(業務中の交通事故であれば、事故証明書など)があれば、受け付けてもらいやすいと思われます。

⑶ 通勤災害の場合

通勤災害の場合も、事故発生日時や通勤経路などについて会社による証明が必要です。

しかし、業務災害と異なり、会社の業務外での事故であり、事故の状況について会社は知る立場にないため、事故状況についての会社の証明は、不要となっています。

⑷ 請求書の提出

請求書は、受診しようとする医療機関の窓口に提出します。

また、被害者による医療費の支払は不要です。

⑸ 転院する場合

従前の指定医療機関から、他の医療機関に転院する場合、指定病院の変更届を転院先の病院に提出します。

3 労災保険への提出書類その2(指定医療機関ではない医療機関を受診する場合)

この場合は、いったん、被害者自身が医療費全額を医療機関に支払った後で、所定の請求書と医療費支払の際の領収書を労働基準監督署に提出し、同金額を労災保険より支払ってもらうことになります。

4 労災保険と健康保険の違い

医療費に対する保険として、労災保険の他に健康保険がありますが、両者には以下のような違いがありますので、ご注意ください。

⑴ 適用となる事故の違い

医療機関を受診する際、多くは健康保険を用いての受診となりますが、通勤途中の事故(会社からの帰路も含む)と、勤務中の事故による怪我(病気)は、健康保険ではなく、労災保険にて受診する必要があります。

労災保険と健康保険では、適用される範囲が区別されており、上記2つの事故は労災保険、その他は健康保険にて、それぞれ医療費の支払がされることになっているためです。

⑵ 給付の違い

健康保険の場合、多くの場合は、医療費のうち3割を窓口にて支払う必要がある(自己負担の必要がある)のに対し、労災保険の場合は、医療費全部が労災保険より支給され、自己負担はありません。

⑶ 書類提出の必要性

健康保険の場合は、健康保険証を提示すれば、所定の医療費が支払われます。

これに対し、労災保険の場合は、先にお伝えしたとおり、所定の請求書を提出する必要があります。

5 柔道整復師(接骨院、整骨院)を受診する場合

施術を行った柔道整復師が、その施術料金を被害者に代わって所轄の労働基準監督署に請求書を提出し、労基署より直接支払を受けることについての承認(受任者払いの承認)を受けている場合には、被害者は請求書を柔道整復師に提出すれば足り、被害者による立替払いは不要です。

これに対し、柔道整復師が上記承認を受けていない場合は、上記3と同じく、被害者自身による支払と請求が必要となります。

6 労災保険を使用すべきところ、誤って健康保険を使用した場合

原則は、被害者が健康保険に同保険が負担する分の医療費を支払い(返納し)、改めて労災保険に請求することになります。

被害者の負担が重くなりますので、労災保険を適用すべき事故の治療について、誤って健康保険で受診しないように注意しなければなりません。

もっとも、受診した医療機関が、健康保険に医療費の支払を請求する前であれば、返納が不要となるため、誤って健康保険を使用した場合には、まずは医療機関にご相談されることをおすすめします。

また、労災保険と健康保険の協議により、返納が不要となる場合もありますので、返納額が多額であるなどして、返納が困難である場合には、それぞれの保険の担当者にご相談ください。

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