「任意整理」に関するお役立ち情報
業者別任意整理の傾向(信販会社―楽天カード編)
1 信販会社(クレジット会社)
信販会社(クレジット会社)は、主要業務として販売信用を扱っている会社です。
ここで販売信用とは、消費者が分割払いなどを利用して商品やサービスを購入する際に、信販会社等によって当該消費者に付与される信用のことを言い、消費者信用の一形態となります。
販売信用はショッピングクレジットとも呼ばれ、金銭の貸し付けを行う消費者金融と対比されます。
販売信用には、利用の都度、信用を受けるために契約を結ぶ個品信用契約(例えば車の購入など)と、一定の審査によって包括的に信用を与えてクレジットカードを発行し、当該カードの有効期間内について利用を認める総合割賦契約があります。
消費者に対して販売信用を付与した信販会社等は、消費者が購入した商品やサービスの代金を立て替えて支払い、その立替金の支払いを利用者に請求することになります。
信販会社が立て替えた代金について、消費者は、1回払い、5回払い等の複数回払い、またはリボ払いというような方法で返済しますが、1回払い以外は手数料を請求されるのが通常です(なお、販売戦略として商品等の売主が分割手数料を負担しているケースも少なからず見受けられます)。
とくにリボ払いの場合は利用金額が増えると利息、手数料が膨らみますので、クレジットカードは1回払のみでの利用をお勧めしますが、1回払で使いすぎてしまい、翌月の支払いができず(「後からリボ」にもできずに)、債務整理が必要になる方もいらっしゃいますので、常日頃からアプリ等を利用してクレジットカードの利用金額を管理することが大事になります。
なお、クレジットカード会社の多くは、販売信用の供与だけではなくキャッシングやローン(金銭の貸付け)も行っています。
金銭の貸し付けは貸金業になりますので、貸金業法の適用を受け、監督官庁である金融庁の監督を受けます。
他方、販売信用の業務については、経済産業省が監督官庁になります。
つまり、金銭の貸し付けも業務として行っているクレジットカード会社は、二つの省庁から監督を受けることになります。
2 任意整理の傾向
クレジットカードをこれから作って利用を開始しようとしている方は、債務整理などということは全く思いも及ばないことだと思いますが、任意整理についてある程度の知識を得ておくことは、これからクレジットカードの利用を開始しようと考えている方にとっても有益です。
というのも、収入減や出費の増大(子供が生まれたなど)は誰にでも起こる可能性があり、そうなると返済が厳しくなって債務整理を検討しなければならなくなるからです。
本稿執筆時点の情報になりますが、例えば楽天カードと任意整理を行う場合、弁護士が受任通知を送付してから3か月以内に和解の合意を行えば、遅延損害金は免除されます。
しかし、3か月を超えると、和解までに発生した遅延損害金を加算されます。
早期和解を行うことについて、任意整理を行う業者数が少なければそれほど問題は生じないですが、業者数が多いと、負債総額を把握し返済計画が立てられるかどうか検討する前に早期和解するかどうかを決めなければならないこともあります。
なお、楽天カードは楽天銀行カードローンの保証も行っており、このカードローンは借入額が高額になっていることも多いですので、遅延損害金が加算されるか否かで返済総額に少なくない違いが生じます。
楽天カードと任意整理を行う場合の合意可能な返済回数は、負債総額が大きくても60回が最長になります。
ただし、月々の最低返済額は3000円(端数月は1000円)になります。
となりますと、例えば債務残高が300万円あり(楽天銀行カードローンを利用している場合はこの程度の金額になることも少なくありません)、任意整理前の返済額が月々4万円だった場合、60回での分割返済にすると月々5万円になりますので、将来利息は免除されるものの、任意整理前より月々の返済額は増えてしまうことになります。
なお、任意整理の和解交渉では債務者の収支状況や債務状況を聞かれることも少なくないですが、楽天カードの場合、和解にあたってこれらの事項を細かく聞かれることはほとんどありません。
























