「任意整理」に関するQ&A
仕事がアルバイトでも任意整理はできるのですか?
1 任意整理を行うにあたって
任意整理は、カードローンやクレジットカードの返済が難しくなった場合に、各貸金業者と個別に交渉して返済条件を変更するという債務整理の手段です。
つまり、任意整理は民事交渉の一つですので、仕事がアルバイトであっても、任意整理を試みることは法律上何ら問題ありません。
しかし、仕事がアルバイトの場合、以下に述べる諸要素を十分に検討した上で選択する必要があります。
2 返済可能な収入があるかどうか
アルバイトの方は、正社員や契約社員等と比較すると、一般的には収入が少ない傾向にあります。
任意整理を行う際には、その収入の範囲で返済できるかどうかを慎重に検討する必要があります。
返済以外の支出を甘く見積もっていると、すぐに返済に行き詰ることにもなりかねませんので、支出の平均額は厳密に見積もり、返済可能かどうかを判断することが重要です。
また、アルバイトの方の中には、国民年金を納付していないケースもありますが、その場合は国民年金の納付を優先すべきです。
国民年金を支払うと返済が困難になる場合には、自己破産を選択するのがよいかと思います。
3 継続した返済が可能かどうか
任意整理では、通常、負債残額を3年から5年程度の分割で返済することになります。
すなわち、任意整理を行えば現在の収入でも十分返済が可能な場合でも、この収入が3年から5年程度継続して得られることが前提となります。
しかし、アルバイトの場合、地位が弱いですので、勤務先の経営悪化により失職する可能性は正社員等に比べると高くなりがちです。
現に、新型コロナウイルスによる営業自粛等が行われた際は、飲食店のアルバイトでは失職者が続出しました。
失職して収入がなくなり返済ができなくなると、自己破産を検討せざるを得なくなり、それまでの返済や任意整理のために支払った弁護士費用等が無駄になってしまいます。
また、アルバイトを掛け持ちすることで返済資金を捻出している方もいらっしゃいますが、長時間労働により体調を崩し、アルバイトを辞めざるを得なくなる可能性もあります。
そのため、アルバイトの方が任意整理を選択する場合は、アルバイトでも長期間継続して勤務している実績がある勤務先で働いているケースや、アルバイトとして同じ勤務先で既に長期間働いているケースを除き、継続して収入を得られるかどうかを慎重に検討する必要があります。
アルバイトの方で、任意整理ができるかどうか心配な方は、一度弁護士に相談されることをおすすめします。
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