「債務整理」に関するお役立ち情報
まもなく退職金が支給される方の債務整理
1 退職金と債務整理
今日では、60歳に近い方、または60歳を超えている方でも、多重債務状態に陥っているケースが見受けられます。
この中には、まもなく定年となり退職金が支給される見込みであるという方もいらっしゃいます。
ここでは、銀行カードローンや消費者金融、クレジットカード会社の負債が膨んでしまい、毎月の給料では返済が厳しくなり自転車操業になっているものの、まもなく60歳になり勤務先から退職金が支給される見込みで、その退職金があれば全額返済できる場合の対応方法についてご説明します。
なお、自己所有の自宅は無いことを前提としています。
2 退職金支給まで待つ方法
ケースバイケースではありますが、退職金が支給されるまで長くても6か月~10か月程度の場合には、弁護士に任意整理を依頼していったん返済をストップし、退職金が支給された時点で一括返済の合意を取り交わす、という方法があります。
なお、業者によっては、弁護士に依頼してから数ヶ月以内に和解をしないと訴訟を提起され、移送申立て等の手段で判決までの時間を稼いだとしても8か月後くらいには判決を取られます。
そのため、退職金の支給が10か月後以降という場合は、この方法だと給料を差し押さえられるリスクがあります。
3 退職金支給まで任意整理(分割返済の和解)で凌ぐ方法
任意整理を行えば現在の給料で返済できる場合、とりあえず任意整理による分割返済の和解を行って退職金支給まで凌ぐという方法があります。
こちらもケースバイケースですが、退職金支給まで1年程度の期間がある場合は、弁護士が任意整理で受任し、退職金支給まで和解せず返済をストップしたままにすることは弁護士の職責上困難です。
そのため、分割返済の和解を締結して、退職金支給まで凌ぐことになります。
4 自己破産または個人再生で凌ぐ方法
任意整理により分割返済の和解をしても返済の見込みがなく、また退職金支給まである程度の期間がある場合は、自己破産または個人再生を検討することになります。
ただし自己破産の場合は、退職金見込額の8分の1か4分の1の金額を破産財団に組み入れて、破産債権者への配当に充てる必要がありますので、毎月の収入から積み立てを行うなどしてその金額を用立てる必要があります。
個人再生の場合は、退職金見込額の8分の1または4分の1の金額が財産とされ清算価値に計上されます。
しかし、手続きの進行が遅れ、再生手続中に支給されてしまった場合は、その全額が清算価値に計上される可能性があります。
そうなると、負債のほぼ全額を返済することになるため、再生手続を行った意味はほとんど無くなります。