高次脳機能障害が疑われる場合の対応
1 早期に受診
高次脳機能障害が疑われるような症状、たとえば、事故後に昔の記憶が無くなることや新しいことを記憶する能力が低下したこと(記憶障害)、今まで同時にできていたことができなくなったこと(遂行機能障害)、性格が変わってしまったなどの症状が出ている場合には、すぐに医療機関を受診したほうが良いです。
早期に検査を受けて脳損傷が発覚すれば、治療を早い段階から受けることができますので重症化しにくいという治療面はもちろんですが、賠償の関係でも、早期に受診し、事故直後から症状が生じていることをカルテ(診療録)に記載されることで、事故と高次脳機能障害との間の相当因果関係の証明に有益であり、かつ、早い段階での検査で脳損傷が発覚することも事故と高次脳機能障害との間の相当因果関係の証明に有益です。
事故から時間が経過してから受診し、症状の記載がされたとしても、事故との相当因果関係の証明が足りないとされることもあり得ますし、事故から時間が経過してから初めて脳の精密検査を受けて脳の萎縮が発覚した場合にも、画像だけでは事故によるものか他の原因によるものか判断ができないこともありますので、高次脳機能障害が疑われる場合には、可能な限り早期に受診することが大切です。
2 症状に関するエピソードを日記などに記載しておく
症状に関する証拠を残しておくため、また、医師や看護師に症状を適切に伝えるためにも、事故前にはなかった言動やエピソードなどを日記などに記載しておくことが大切です。
医師や看護師と面談する際には、日記などに記載したエピソードなどのうち、症状が重いものと捉えられるものは、その都度、伝えることも大切です。
医師や看護師に症状が適切に伝わることで、適切な治療を受けやすくなることはもちろんですが、後遺障害認定において有利になることがあります。
高次脳機能障害の後遺障害等級認定申請においては、医師に神経系統の障害に関する医学的意見を作成してもらう必要がありますが、この書類には、日常生活上や社会生活上の支障を細かく記載するだけでなくエピソードなども記入する必要があり、医師が適切に症状を把握していることにより、適切な記載内容になりやすくなります。
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