子どもの交通事故と物損
1 物損と人損
お子様が交通事故の被害に遭ってしまったとき、過失割合にもよりますが、加害者である相手方に対して損害賠償請求が可能な場合があります。
請求できる項目としては、大きく分けて「物損」と「人損」の二つがありますが、ここでは物損についてお話しします。
子どもの場合、自転車で走行中、または歩行中に事故に遭うことも多いかと思います。
以下では、自転車についてと衣服や携行品についてそれぞれご説明いたします。
2 自転車などが破損した場合
自転車に乗っているときに事故に遭ってしまい、事故によって車両が破損してしまった場合は、適正修理費相当額か車両の時価額のどちらか低い方を加害者に請求できるというのが現在の裁判所の考え方です。
例えば、損壊した自転車の修理費が3万円かかるとしても、当該自転車の事故当時の価値が1万円しかなかった場合は、時価額の1万円しか請求することができません。
自転車の時価額をどのように計算するかについては、基本的には減価償却により算出します。
自動車であれば中古市場における同型、同年数のものの平均値から算出することも可能ですが、自転車はそのような市場が乏しいため、このような算出方法を用いています。
一般的な自転車の法定耐用年数は2年ですので、定額法で計算した場合購入から1年経過した購入金額5万円の自転車の現在価値は2万5000円ということになります。
ただし、スポーツバイクについては、負荷のかかる使用が予定されている一方で用途に応じた耐久性を備えているとして、耐用年数を5年とした裁判例があります。
なお、法定耐用年数を経過した車両については、残存価値は0円ではなく、購入価格の10パーセントとするのが通例です。
3 衣類や携行品などが破損した場合
事故時に着用していた衣類や、持っていた鞄、スマートフォンなどが壊れてしまった場合、これらについても上記自転車と同様、適正修理費相当額か車両の時価額のどちらか低い方を加害者に請求できるというのが現在の裁判所の考え方です。
これらを請求するためには、以下の3つが必要となります。
- ①事故当時に着用携行していたことが分かる資料
- ②事故によって損傷が生じたことを示す資料
- ③損害額に関する資料
⑴ 事故当時に着用携行していたことが分かる資料
事故前に何を着ていたか写真等で残していることはごく稀かと思いますので、②も兼ねて、事故当日など事故後速やかに衣類や携行品の写真を撮影しておくことをおすすめします。
後日請求をする場合、特に携行品については相手方から事故によって損害が生じたものではないと争われることがよくあります。
事故直後の状態を写真に収めていなかった場合には、事故の日からできる限り早いうちに、損傷を受けた積載物や衣類の状態を写真等に残すようにしてください。
事故直後の様子の目撃者の証言も証拠とできる場合があります。
⑵ 事故によって損傷が生じたことを示す資料
衣類などについては、破れた箇所がよく分かるように写真を撮ります。
携帯電話などの携行品については、例えば割れたガラス面の写真や電源がつかないことが分かる映像などを修理前に撮っておいて、メーカからの修理見積りと修理箇所の明細もあわせて保管しましょう。
⑶ 損害額に関する資料
積載物や衣類に生じた損害については、金銭により賠償を受けるのが原則となります。
発生した損害についてどのくらいの金額になるのかを示す証拠の一つとして、修理をした場合には修理費が記載された請求書や領収書があります。
もっとも、上記で述べたように、修理費と事故前の時価額のどちらか低い額しか賠償されないため、古いものについては減価償却された残存価額しか請求できない可能性が高いです。
そして、時価を示す証拠として、販売価格や購入時の価格を示す証拠、購入時期を示す証拠等が求められる場合があります。
家計簿などに領収書が残っている場合にはそれらの写しを、インターネット通販などで購入した場合は購入履歴のスクリーンショットを提出するとよいでしょう。



















