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弁護士法人心 千葉法律事務所

2回目の自己破産でもできますか?

  • 文責:所長 弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年9月6日

1 自己破産と免責

自己破産手続そのものは、破産手続開始の要件を充足している限り何度でも行うことは可能です。

そのため、ここで問題となるのは2回目の破産でも免責を受けられるかどうかという点になります。

破産法252条1項は、「裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。」と規定していますが、同項10号は「次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から7年以内に免責許可の申立てがあったこと。」とし、イとして「免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日」と規定しています。

つまり、前回の破産手続における免責許可の決定が確定した日から7年以内に免責許可の申立て(自己破産の申立てと同時に行います)を行った場合は、免責不許可事由が存在することになります。

なお、免責不許可事由がある場合でも、破産法252条2項は「前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。」としており、これを裁量免責と言います。

以下では、前回の免責許可決定の確定から7年経過している場合としていない場合に分けてご説明します。

2 7年経過している場合

前回の破産手続における免責許可の決定が確定した日から7年以上が経過している場合、今回の破産手続では、前回の破産手続で免責許可決定を受けたことそのものは免責不許可事由になりません。

ただし、今回の破産手続で他の免責不許可事由がある場合(例えば借り入れの原因がギャンブルや浪費等の場合)、裁量免責を受けられるかどうかが問題となりますが、その際、「一切の事情」として前回の破産手続の際の事情が考慮されることになります。

なお、本稿の執筆者は7年経過後の2回目の破産の事案を相当数扱っていますが、1回目と2回目の破産で事情が異なることも多く(例えば1回目は住宅ローン破産、2回目は消費者金融、クレジットカードでの破産など)免責が認められなかったケースは今のところありません。

3 7年経過前の場合

7年経過前のケースでは、裁量免責が認められるかどうかがポイントとなりますが、ギャンブルや浪費等の免責不許可事由が存在する場合と比較し、裁量免責のハードルは高いと思われます。

少なくとも、今回の破産の原因がやむを得ない事情によるものでなければ免責されないのではないかと思われます。

なお本稿の執筆者は、前回の破産手続における免責許可の決定が確定した日から7年以内に破産免責申立てをしたケースは扱ったことがありません。

前回の破産手続から2、3年後に再度借金を抱えてしまった方のご相談を受けたことは数回ありますが、いずれもいわゆるブラックでも貸してくれる中小消費者金融からの借り入れによる負債だったため、自己破産は引き受けておりません(なおこのような業者の場合、任意整理も困難なことが多く、債務整理そのものをお受けできないことも多々あります)。

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