法律事務所の法律相談と自治体の法律相談
1 法律相談の運営母体
弁護士が行っている法律相談には、大きく分けて①法律事務所が行っている法律相談、②弁護士会が行っている法律相談、③日本司法支援センターが行っている法律相談、および④地方公共団体等の公的な機関が市民サービスとして行っている法律相談があります。
ここでは①と④を比較してご説明します。
2 地方公共団体等の公的な機関の法律相談
地方公共団体等の公的な機関が行っている法律相談は、通常、当該機関の顧問弁護士または相談担当者になることを希望して応募した弁護士が行っています。
原則として相談を担当した弁護士がその場で依頼を受けることを想定していませんので(その場で依頼を受けることを禁止されていることもあります)、弁護士に依頼する必要のある案件であれば、別途法律事務所を探して相談する必要があります。
また、地方公共団体等の公的な機関が行っている法律相談の場合、原則として相談内容に限定はありません。
なお、特定の分野に限った法律相談も行われていますので、その場合には、相談内容はその分野に限定されます。
地方公共団体等の法律相談は、通常は無料で、分野にも原則として限定がないですので、弁護士に相談すべき内容かどうかわからない場合でも気軽に相談できるというメリットがあります。
他方、弁護士に依頼する必要がある場合は再度弁護士を探さなければならないというデメリットや、相談した内容について相談担当弁護士があまり詳しくない場合は、明確な回答を得られない可能性があるというデメリットもあります。
3 法律事務所が行っている法律相談
法律事務所が行っている法律相談は、原則として依頼を受けることを念頭に置いて行っているものですので、弁護士が介入する必要性がありかつ介入することが相当である案件であれば、その場ですぐに委任することが可能です。
もちろん、費用面等で相談した弁護士と折り合いが付かない場合は依頼をしなくても問題ありません。
また、サイト等で専門分野、得意分野を明示している法律事務所も増えているため、相談したい分野について精通している弁護士が在籍している法律事務所に相談すれば、的確な回答を得られる可能性が高くなります。
他方、当該法律事務所または弁護士が受任することのできない分野、類型の相談の場合、相談そのものを断られる場合がありますので、当該法律事務所のサイトで取扱分野をよく確認してから問い合わせを行う必要があります。
相談の申込みをしようとしたところ受付で断られた場合、嫌な気分になる方もいらっしゃるかと思いますので、法律相談を申し込もうとしている法律事務所の情報を事前に収集することが重要かと思います。