弁護士に依頼した債務整理の進行が遅いと感じた場合の対応
1 弁護士による債務整理の対応
弁護士が債務整理の依頼を受ける場合、通常は、着手金を設定し、一括で用意できない場合は、分割で支払う内容の委任契約を締結していると思われます。
着手金ですので、一般の民事事件や刑事弁護の場合は、着手金を一括で支払ってもらってから業務に着手するのが通常ですが、債務整理の場合、一括で着手金を支払えるケースは例外的ですので、着手金の分割支払を可能としている弁護士が多いと思われます。
ただし、着手金の分割支払を可能とする場合でも、依頼を受けた段階で行うのは債権者への受任通知の送付および債権者対応で、任意整理の場合の債権者との交渉や、自己破産や個人再生の場合の裁判所への申立ては、分割支払により着手金及び必要な実費に充てる金額の積み立てが完了してから開始するのが通常です。
2 費用の分割支払が完了しているのに手続が進まない場合
⑴ 費用の分割支払が完了すると、弁護士は依頼を受けた債務整理の交渉(任意整理)や申立て(自己破産または個人再生の場合)に着手します。
ただし、自己破産や個人再生は申立てのための書類の準備にある程度の時間がかかるため(例えば申立て前2か月分の家計表などが必要になります)、特に支障がない限り、費用の分割支払が完了する数か月前に依頼者の方に必要な書類について説明し、準備に入ります。
弁護士に依頼すると、債権者への返済を停止することになりますが、返済を停止した状態で債務整理の具体的な手続を行わない状態が継続すると、遅延損害金が増加し、訴訟を提起されるなどの不利益が生じます。
また、債務整理の解決が遅れると、信用情報に事故情報が登録される期間もそれだけ長くなりますので、費用の積み立てが完了した段階で速やかに手続に入るのが基本です。
⑵ 費用の積み立てが完了しているのに、依頼している弁護士が手続を進めようとしない場合は、依頼している弁護士にその理由を聞いてください。
そして、依頼している弁護士から納得のいく回答を得られない場合や、なかなか回答してもらえない場合は、他の法律事務所の弁護士に相談してください。
債務整理の手続が進まない状態が続くと、上で述べたような不利益が生じかねません。
⑶ なお、弁護士に債務整理を委任する際は、手続が終了するまでどの程度の期間が必要なのか、確認することをお勧めします。