借金問題でお悩みの方
1 借金問題のお悩みを解決するには
お買い物や生活費のために借金をしていたら、返済が追いつかなくなってしまったとお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
借金問題を放置してしまうと、貸金業者から電話や郵便で督促を受けることがありますし、場合によっては裁判を起こされてしまうことや、給与を差し押さえられてしまうこともあります。
また、A社からの借金を返済するためにB社から借金をしてしまうような、いわゆる多重債務の状態に陥ってしまうと、借金問題を解決することがより困難になってしまうこともありえます。
借金問題を解決するためには、お早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。
2 借金問題と弁護士への相談
借金問題にお悩みの際には、貸金業者と交渉して返済負担を軽減する方法や、裁判所での手続きで借金を圧縮してもらったり返済義務を免除してもらったりする方法で、生活の再建を図ることができます。
任意整理、個人再生、自己破産と、借金問題を解決するために採りうる方法は複数ありますが、どの方法が合っているのかをご自分で判断することは難しいと感じられるかもしれません。
適切な方法で借金問題の解決を図るには、債務整理を得意とする弁護士にご相談ください。
借金問題への対応を得意とする弁護士に相談すれば、相談者の方の状況を伺った上で、どの手続きが適切なのかについてアドバイスを受けることができます。
自己破産した場合のクレジットカードの扱い 債務整理と相続について
当法人の事務所について
多くの方にご来所いただけるよう,当法人はすべての事務所を駅の近くに設けております。千葉駅から1分の場所にも事務所がありますので,千葉の方もお越しください。
借金問題の解決までの期間
1 借金問題とその解決とは?
家や車を購入する際、多くの方は住宅ローンや自動車ローンを利用しています。
また、クレジットカードを利用してリボ払いで返済している方も多くいらっしゃるかと思います。
これらはすべて広い意味での「借金」に含まれますが、契約どおり返済できている間は、借金「問題」にはなっていません。
この借金の存在が借金問題として浮かび上がるのは、返済のために借入れをしなければならない状態(自転車操業)になったり、支出の増加や収入の減少等により返済が厳しくなったときになります。
そして、収入の範囲内で無理なく返済できるようになり(任意整理、個人再生)、または借金が消滅すると(自己破産)、借金問題は解決したことになります。
本稿では、借金問題の解決までの期間について概要をご説明します。
なお、借金問題を弁護士に依頼して解決する場合、まず、一括払いまたは分割払いでの費用の準備が必要になりますが、分割払いを選択した場合の費用準備期間についてはここでは度外視します。
2 任意整理の解決までの期間
任意整理は、比較的短期で解決できる債務整理の手段です。
銀行カードローンやクレジットカードの場合、保証会社による代位弁済やショッピング債権確定までに2、3か月かかることもありますが、任意整理の交渉そのものは1か月かかることはまずありません。
任意整理を行う対象業者が消費者金融のみの場合、保証会社による代位弁済なく、また債権もすぐに確定しますので、費用の準備ができていれば1か月程度で解決できます。
3 個人再生の解決までの期間
個人再生は、千葉地裁の場合、大雑把に、①申立書等書類の準備→②裁判所に申立て→③手続開始→④再生計画認可決定の確定(解決)という流れになります。
この①から④にかかる期間は、事案により区々ではありますが、通常の案件では概ね5~6か月程度になります。
そのため、費用を分割で準備する場合は、上記期間に費用の分割期間を足したものが解決までの期間の目安になります。
4 自己破産の解決までの期間
自己破産は、千葉地裁の同時廃止の場合、①申立書等書類の準備→②裁判所に申立て→③裁判官による面接→④手続開始・同時廃止→⑤免責決定となります(ただし、③は行われないケースが多くなっています)。
管財事件の場合、②までは同時廃止と同じで、③手続開始→④債権者集会・手続廃止→⑤免責決定となります(なお、財産の換価処分や配当がある場合は債権者集会が複数回行われますが、ほとんどの事案は1回で廃止になるため1回で終了するケースを前提としています)。
同時廃止の場合は、①から⑤まで3か月程度になります(裁判官の面接が行われることになり、その日程調整に手間取ると4か月程度になることもあります)。
管財事件の場合は、①から⑤まで3~4か月程度となります。
なお、千葉地裁の本庁では申立書に不備がなければ自己破産も個人再生も速やかに手続きが開始しますが、支部の場合は手続き開始までに日数を要することもありますので注意が必要です。
借金問題の解決方法
1 債務整理以外の手段
個人の方が借金問題を解決する手段として弁護士が主に取り扱っているのは任意整理、個人再生および自己破産になります。
任意整理は、貸金業者またはクレジットカード会社と個別に交渉して返済条件を変更する手続きです。
個人再生および自己破産は裁判所で行う手続きで、個人再生では法律に従い減額された負債を原則3年で返済し、自己破産では免責を許可する決定により負債の返済義務を免れることになります。
これらの借金問題を解決する手段(債務整理)に共通するのは、対象となる債権者に貸金業者やクレジットカード会社が存在する場合、信用情報に事故情報が登録されてしまうことです。いわゆるブラックリストに載ってしまうと、借り入れの審査が通らない等、一定の不利益を受けることになります。
本稿では、借金問題の解決について、執筆者の相談経験を踏まえ、債務整理以外の手段を考察したいと思います。
2 住宅ローンのリスケジュールおよび借り換え
例えば住宅ローンを組んだときは収入が十分あったため、返済期間も短期にして返済金額を決めたものの、その後収入が下がったため返済がきつくなった場合、住宅ローンを借り入れた金融機関の窓口で相談すれば、リスケジュールができる場合があります。
リスケジュールにより住宅ローンの月々の返済額を十分減らすことができれば、それ以外の負債(車のローン等)について債務整理を行う必要はなくなります。
また、金利が高い時期に固定金利で住宅ローンを借り入れていた場合は、低い金利の住宅ローンに借り換えをすることで、月々の返済額を減らすことができます。
3 おまとめローン
例えば消費者金融会社3社からそれぞれ100万円未満の借り入れがあり、利率が18%(利息制限法の上限利率)の場合、より利率が低いおまとめローンに借り換えをすることで、月々の返済額を減らすことができます。
この場合、消費者金融3社のいずれかについて信用情報に事故情報が登録されているとおまとめローンの審査も通らないことになりますので、延滞が生じる前に速やかに対応することが重要です。
4 不動産担保ローン
銀行カードローンや消費者金融から借入れがある方で、相続等により担保の付いていない不動産をお持ちの場合は、不動産担保ローンを利用することによりカードローン等を返済するということが考えられます。
不動産担保ローンの場合、担保がありますので利率は通常低くなり、月々の返済額を減らすことができます。
ただし、不動産担保ローンの場合、延滞すると不動産が競売されてしまいますので、返済の可能性について慎重に検討してから申し込みましょう。
借金問題のことを弁護士に依頼する場合の費用
1 費用の種類
借金問題について弁護士に依頼する費用には、大きく分けて、①弁護士報酬と②実費の2種類があります。
①の弁護士報酬には、着手金、成功報酬金、日当・出張費、返済代行手数料(任意整理または個人再生で法律事務所が返済代行を行う場合に必要となる手数料です)などがあります。
②の実費には、郵便代、コピー代、ファックス通信費、交通費、収入印紙代などが含まれますが、自己破産手続や個人再生手続きの場合は、裁判所に納める収入印紙、予納郵券、予納金(官報公告費、管財人費用など)が必要になります。
2 弁護士報酬
⑴ 任意整理の場合
弁護士法人心では、任意整理の場合に弁護士報酬としていただいているのは原則として着手金と返済代行手数料(返済代行も依頼いただく場合)になります。
ただし、過払い金が発生していた場合は、回収金についての成功報酬と、訴訟で出廷した場合の日当をいただいております。
⑵ 個人再生の場合
個人再生の場合、弁護士法人心でいただいている弁護士報酬は、原則として着手金と日当・出張費(主に個人再生委員面接が行われた場合に発生します。)になります。
なお、過払い金が発生し回収する場合は、任意整理と同様の費用をいただくことになります。
⑶ 自己破産の場合
自己破産の場合も、基本的には個人再生の場合と同じです(ただし、日当・出張費は主に債権者集会や管財人面接が行われた場合に発生します。)。
3 実費
⑴ 任意整理の場合
任意整理の場合、実費は郵便代、ファックス通信代、和解書に貼付する印紙がメインとなりますので、それほどかからず、通常は相手方1社につき1000円から1500円程度です。
ただし、過払い金が発生し、それを訴訟で回収する場合は、訴訟提起の際に収入印紙および予納郵券が必要になります(これらの実費は、通常は回収した過払い金で十分に賄えます)。なお予納郵券は定額ですが(5000円または6000円)、印紙代は請求額により決まります。
⑵ 個人再生の場合
個人再生の場合、申立ての際等に大量の書類を提出しますので、とくにコピー代が一定程度必要になります。
また、裁判所には収入印紙1万円、予納切手(千葉地裁の場合は原則4280円)、官報広告費(千葉地裁の場合は1万3744円)のほか、個人再生委員が選任された場合は(千葉地裁では、弁護士が代理人として申立てを行う場合は原則として個人再生委員は選任されません)、個人再生委員の費用として15万円または20万円(住宅資金特別条項を利用する場合等に発生します。)が必要になります(ただし個人再生委員の費用は分割払いが可能です)。
⑶ 自己破産の場合
自己破産の場合も、申立ての際等に大量の書類を提出しますので、とくにコピー代が一定程度必要になります。
裁判所には、印紙1500円、予納切手(千葉地裁の場合は、自然人の同時廃止の場合は原則1008円で、自然人の少額管財の場合は原則3800円です)、官報公告費(千葉地裁の場合、自然人の同時廃止は1万1859円、自然人の少額管財で債権者集会が招集される場合は1万8543円、招集されない場合は2万3359円です)を納める必要があります。
さらに、少額管財の場合は、管財人費用として20万円を準備し破産管財人に引き継ぐことになります(千葉地裁ではこの費用の分割払いは認められていません)。
費用についての詳細は、ご相談の際にお気軽にお問い合わせいただければと思います。
借金問題の解決の流れ
1 まずは法律相談
借金問題を解決するためには、まず、弁護士等専門家の法律相談を受けていただく必要がございます。
弁護士・法律事務所はまだまだ敷居が高いと思っている方も少なくありませんが、多くの法律事務所は、借金問題(債務整理)の初回法律相談を無料とすることで、できるだけ敷居が低くなるように努力しています。
法律相談をする時期は、早ければ早いほどよいでしょう。
遅くなると、選択できる手段も狭まってきます。
例えば、個人再生では、住宅ローン特則を使うことにより、住宅ローンのある自宅を維持しながら住宅ローン以外の負債を整理することが可能です。
しかし、住宅ローンの返済を怠り、保証会社が代位弁済をしてから一定期間が経過すると、住宅ローン特則は使えなくなってしまいます。
住宅ローンとそれ以外の負債がある場合は、住宅ローンを延滞する前に弁護士に相談することが大事です。
法律相談を受け、選択する債務整理の手段が決まりましたら、弁護士と委任契約を締結し、債務整理の手続きが開始することになります。
弁護士は、委任契約締結後、すみやかに債権者に受任通知を送付します。
2 費用の準備
債務整理を弁護士に依頼したら、まず費用の準備を行っていただきます。
多くの法律事務所では、債務整理については分割払いでの支払いに対応していますので、預貯金等が全くない場合でも、お気軽にご相談ください。
ただし、債権者を長期間待たせることはできないため、分割の回数(期間)には限度があります。
分割でも費用の準備が難しい場合は、日本司法支援センターの利用を検討してください。
3 債務整理の手続き
費用の準備が完了したら、債務整理の具体的な手続きに入ります。
任意整理の場合は業者との交渉、自己破産または個人再生の場合は申立てに必要な書類を準備し申立てを行います。
なお、任意整理については受任弁護士がほとんどを処理し、依頼者の方に行っていただくことはほとんどありませんが、自己破産または個人再生の場合は、必要な資料の収集や家計表の作成等を行っていただきます。
自己破産または個人再生は、申立て後、法律の規定に沿って手続きが進むことになります。
4 手続きの終了
任意整理は、業者との和解締結により終了し、その後は和解内容にしたがって返済を再開していただくことになります。
個人再生も、再生計画認可決定の確定により終了し、その後は再生計画にしたがって返済を行っていただきます。
他方、自己破産は、免責を許可する決定が確定すれば債務を免れますので、免責許可決定の確定によりすべて終了となります(ただし免責されない税金等の納付は必要です)。
以上が、借金問題の解決の大まかな流れとなります。
借金問題の法律相談はどのようなものか
1 借金問題の法律相談
借金問題の法律相談とは、返済が厳しくなった方のために、弁護士等の法律専門家が行っている法律相談です。
個人の方の債務整理の手段としては、主なものとして任意整理、個人再生および自己破産がありますので、法律相談の中で、どの手続きを行うのがふさわしいかを判断することになります。
借金問題の法律相談で多いのは、カードローンやクレジットカードの使い過ぎで負債が膨らみ返済が厳しくなったケースや、収入減でカードローン等の返済が厳しくなったケースです。
このようなケースでは、法律相談の際に弁護士が負債金額や収入、支出の状況等、手続き選択に必要な事情を相談者の方から伺い、どの手続きがふさわしいかを判断することになります。
しかし、借金問題ではあっても、法律専門家が行う法律相談には必ずしもふさわしくないケースもありますので、以下でご説明します。
2 住宅ローンについての相談
例えば、住宅ローンの他にカードローンやクレジットカードの負債があり、返済が厳しくなった場合は、任意整理や個人再生を検討し、それらの手続きを行っても返済が困難だという場合は自己破産を選択することになります。
また、負債は住宅ローンのみであるものの、リストラ等で返済ができなくなった場合は、自宅は任意売却または競売の上、自己破産を行うことになります。
これらの借金問題は、法律専門家が行う法律相談にふさわしいケースになります。
他方、負債は住宅ローンのみであるが、収入が少し減少したため毎月の返済が少々厳しくなったというようなケースでは、まず住宅ローンのリスケジュールを検討することになります。
となると、弁護士などの法律専門家は住宅ローンそのものについての専門家ではないため、法律相談で住宅ローンのリスケジュール案をアドバイスすることは困難ということになります。
このような場合は、住宅ローンを組んだ金融機関において、リスケジュールにより毎月の返済額を減らすことができないかどうか、相談いただくことになります。
3 クレジットカードの相談
カードローンやクレジットカードの負債が多数あり金額も大きく、返済が厳しくなった場合は、任意整理等の債務整理を検討することになりますので、借金問題の法律相談になります。
しかし、例えばクレジットカードで商品を購入した際、リボ払いにしたつもりが1回払いになっていたため返済ができないというような場合は、まずリボ払いあるいは分割払いへ変更できないかどうかを検討することになりますので、相談先はお使いのクレジットカード会社になります。
また、何らかの事情で当月の返済ができないが、次月以降は問題なく返済できる場合も、まずは返済のリスケジュールを検討することになりますので、相談先は業者となります。
これらの場合に、すぐに弁護士に依頼して任意整理を行うことも可能ですが、信用情報に債務整理の情報が登録されてしまうことになります。
以上をまとめると、法律専門家が行っている借金問題の法律相談は、債務整理を行うことを前提とした相談となりますので、債務整理をしなくても解決できる可能性がある場合は、まずその手段を検討することになります。
もちろん、当法人では、債務整理以外の方法で解決できる場合は、法律相談でもその解決方法をアドバイスしますが、すぐに債務整理を行うことをすすめる専門家もいるようですので、注意が必要です。